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コシマゲンゴロウを飼育下で繁殖させて幼虫を育ててみました。
本記事では、コシマゲンゴロウ成虫の簡易的な飼い方や卵の産ませ方、幼虫の育成方法についてまとめてみました。
シマゲンゴロウを検索された方は、下記のリンクからご覧ください。
分類：ゲンゴロウ科シマゲンゴロウ属
和名：コシマゲンゴロウ
学名：Hydaticus grammicus
体長10ミリ程度の中型のゲンゴロウです。上翅には黄色と黒の縦じま模様があり、ヒマワリのタネみたいでかわいい姿をしています。
浅い湿地や水田などに生息し、幼虫は5月から8月に確認されています。
コシマゲンゴロウの繁殖に取り組んだ時期
今回、コシマゲンゴロウの繁殖に取り組んだのは8月から9月です。
コシマゲンゴロウ、成虫の飼育方法（簡易版）
日々のメンテナンスや採卵のしやすさなど、繁殖に重点を置いた簡易的なコシマゲンゴロウの飼育方法をご紹介します。
成虫の飼育容器
成虫の飼育には、100円ショップで購入した小型プラスチックケース（17×11×8.5センチ）を使用し、汲み置きした水道水を水深4〜5センチ程度入れました。管理時以外は脱走防止のため、既存のフタをしています。
また、ペアリングするまでオスとメスは個別飼育しています。
成虫のエサ
成虫のエサは、毎日、市販の冷凍赤虫を適量与えました。
エサやりの頻度は、1日1〜2回程度とし、食べ残しが出ないように注意しました。
※飼育におすすめのこだわり赤虫はamazonでは販売してません
水換え
水換えは、3日に1回を目安に全量を汲み置きした水道水で行いました。
飼育水の汚れやにおいがあるときは、水換えが必要です。
水温と光条件
水温は、エアコンの設置されてない8月から9月の室温で管理し、24〜27℃程度でした。
また、専用の照明は設置せず、光条件は窓から入る自然光のみです。
産卵基質（産卵床）
コシマゲンゴロウは、植物の組織内などに産卵するため、今回の繁殖では産卵基質としてホテイアオイを使用しました。
コシマゲンゴロウ、ペアリング
繁殖期としては終わり頃かなと思われましたが、個別飼育していたオスをメスの容器に入れてみると、すぐに交尾がはじまりました。
交尾終了後は、再度、オスを取り出してそれぞれ個別飼育しています（交尾によるメスの負担を軽減させるため）。
オスとメスの見分け方
コシマゲンゴロウの雌雄の判別は、オスの前肢にある吸盤で簡単に見分けることができます。メスの前肢には吸盤はありません。
前肢が観察しにくいときは、チャック付きポリ袋に入れて腹側をじっくり観察すると見分けやすいです。
コシマゲンゴロウ、産卵のさせ方
交尾後しばらくしてから、メスの容器に入れておいた産卵床のホテイアオイを観察すると、スポンジ状になっている部分に小さな噛みあと（産卵痕）が見つかりました。
そこでそのホテイアオイを取り出して、汲み置きした水道水を入れたタッパーに入れておくと採卵から約3日程度で孵化がはじまりました！
今回行った繁殖では、メス1個体から30日間採卵した結果、約400粒も回収できました。
産卵痕のあるホテイアオイは、毎日、新しいものと交換して孵化日数を調べてみました。
コシマゲンゴロウ、各成長段階の平均日数
| 孵化 | 1-2齢 | 2-3齢 | 3齢-上陸 | 上陸-蛹化 | 蛹化-羽化 | 羽化-脱出 |
| 2.8 | 3.0 | 3.0 | 5.8 | 1.0 | 4.0 | 1.9 |
※育成日数は、飼育水温や栄養条件などの条件で多少前後すると考えられます。
コシマゲンゴロウ、幼虫の飼育方法
今回の繁殖で、幼虫の育成に用いたものなどを参考までに紹介します。
幼虫の飼育容器
幼虫の飼育には、100円ショップで購入したお弁当用のマヨネーズカップ（直径4×高さ2.5センチ）を使用しました。カップには、汲み置きした水道水を水深5ミリ程度入れています。
幼虫の飼育には、上陸させるまでフタは使用しませんでした。
幼虫のエサ
幼虫のエサは、各齢期すべて市販の冷凍赤虫のみを使用しました。
エサやりの頻度は、朝夕1回、食べ残しが少し出るぐらい多めに与えました。
水換え
水換えは、スポイトを用いて汲み置きした水道水で毎日、ほぼ全量を朝夕各1回交換しました。成虫同様、飼育水の汚れやにおいがあるときはこまめに水換えする必要があります。
水温と光条件
幼虫も成虫同様、室温管理と窓からの自然光のみで育成しました。
コシマゲンゴロウ、孵化幼虫
産卵床のホテイアオイからは、平均2.8日で孵化してきました。孵化幼虫の平均体長は5.4ミリ。
孵化幼虫は、からだが固まると入れて置いた赤虫を摂餌するようになります。冷凍赤虫だけで育成できるのでエサの面では安心です。
コシマゲンゴロウ、2齢幼虫
平均3.0日ほどで脱皮をして2齢幼虫になりました。脱皮直後の平均体長は8.8ミリほど。
コシマゲンゴロウ、3齢幼虫
平均3.0日ほどで脱皮をして3齢幼虫になりました。脱皮直後の平均体長は14.6ミリほど。
コシマゲンゴロウ、上陸直前の幼虫
3齢幼虫は平均5.8日で強制上陸させました。
上陸直前の幼虫は、透けて見えていた消化管の前半部分がほぼ空になっています。この状態が上陸のタイミングです。上陸直前の幼虫の体長は19.1ミリほど。
コシマゲンゴロウ、上陸方法
上陸にも幼虫と同じマヨネーズカップを使用しました。カップには、水道水であらかじめ加湿しておいたピートモスを半分程度まで入れ、その上に幼虫をのせます。
ピートモスについて
ピートモスは、ホームセンターの園芸コーナー等で購入できます。
水道水で加湿したピートモスは、軽く手で絞って水が落ちる程度の状態のものを使用しています。
上陸させた幼虫がうまく蛹室を作らないときは、ピートモスの水分量があっていない可能性がるので、状況を見て水分量を調整してください。
コシマゲンゴロウ、土繭（蛹室）
強制上陸させると1日以内に写真のような球状の蛹室（土繭）を土の表面に作りました。
土の中に潜らず、土の表面で土繭を作るので、観察していてとても面白いですよ。
タイムラプス動画はこちら↓
コシマゲンゴロウ、蛹化
強制上陸から平均1.0日ほどで蛹化しました。早い！
今回は蛹化のタイミングを確認するため、蛹室の中を毎日観察しています。
蛹化の様子をタイムラプス撮影した動画はこちら↓
コシマゲンゴロウ、羽化
蛹化した個体は、平均4.0日ほどで土繭の中で羽化していました。その後、平均1.9日で蛹室から脱出してきました。
新成虫の体長は平均9.5ミリ。
羽化の様子をタイムラプス撮影した動画はこちら↓
コシマゲンゴロウ、新成虫
コシマゲンゴロウは、産卵数も多く、冷凍赤虫だけでも簡単に育成できます。また、育成期間も短いため、ゲンゴロウ類の繁殖入門種としてもピッタリです。幼虫や蛹、羽化の瞬間など、何度も観察を楽しめるのもおすすめです。
コシマゲンゴロウを飼育する機会があれば、ぜひ繁殖もねらってみてはいかがでしょうか。本記事がコシマゲンゴロウや同属のゲンゴロウ類の繁殖の参考になればうれしいです。
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