【飼育方法】チビゲンゴロウを繁殖させてみた

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チビゲンゴロウを飼育下で繁殖させて幼虫を育ててみました。

本記事では、普通種でもあるチビゲンゴロウの飼い方や産卵のさせ方、幼虫の育成方法についてまとめてみました。

チビゲンゴロウ 解説

分類:ゲンゴロウ科チビゲンゴロウ属

和名:チビゲンゴロウ

学名:Hydroglyphus japonicus

体長2ミリの小型のゲンゴロウです。田んぼや雨が降った後にできる水たまりなどで見られる普通種です。

とても小さな種類ですが、上翅には美しい斑紋があります。野外で幼虫は5〜6月頃に確認されています。

チビゲンゴロウの繁殖に取り組んだ時期

今回、チビゲンゴロウの繁殖に取り組んだのは8月中旬から9月初旬です。

チビゲンゴロウ 、成虫の飼育方法

日々のメンテナンスや採卵のしやすさなど、繁殖を目的にした簡易的なチビゲンゴロウの飼育方法をご紹介します。

成虫の飼育容器

成虫の飼育には、100円ショップで購入した小型タッパー(8×6×3センチ)を使用しました。

汲み置きした水道水を水深1センチ程度入れ、甲羅干しや休憩場所となる鉢底ネット(網目約2ミリ)を適当なサイズにカットし、山折にして設置しました。管理時以外は脱走防止のため、既存のフタ(通気用の小さな孔を開けたもの)をしています。

成虫のエサ

成虫のエサは、毎日、市販の冷凍赤虫を適量与えました。

エサやりの頻度は、1日1回とし、食べ残しが出ないように注意しました。小型種なので残餌になりやすく、飼育容器も小型のため水質が悪くなりやすいことを頭に入れておきましょう。

水換え

水換えは、2〜3日を目安に全量を汲み置きした水道水で行いました。

エサのやり過ぎや食べ残しで、飼育水の汚れやにおいがあるときは、水換えが必要です。

水温と光条件

水温は、エアコンが設置されていない8月の室温で管理しました。測温していないため正確な温度は分かりませんが、平均して28℃以上あり、日中は30℃近くあったと思われます。

また、専用の照明は設置せず、光条件は窓から入る自然光のみです。

産卵基質(産卵床)

野外でのチビゲンゴロウの産卵基質が調べてもよく分かりませんでした。

降雨後にできた植生のない水たまりでも幼虫を観察したことがあったため、今回はタッパーの表面や鉢底ネットの表面に産卵するのではないかと予想し、特別な産卵気質は使用しませんでした。

鉢底ネットに産みつけらたチビゲンゴロウの卵。鉢底ネットの網目は約2ミリなので、卵の小ささがよく分かります。

観察の結果、タッパーの壁面や鉢底ネットの表面に産みつけらた卵を確認できました。野外では、石の表面などに産卵しているのではないかと思われます。

チビゲンゴロウ 、ペアリング

今回は、飼育容器に成虫を8個体入れて観察しました。

小型種で雌雄を見分けるのが難しかったこともあり、複数個体入れて交尾行動する様子を見て、雌雄が容器に入っていることを確認しました。

※今後、雌雄の見分け方も追記したいと考えています。

チビゲンゴロウ 、各成長段階の平均日数

1-2齢2-3齢3齢-上陸上陸-蛹化蛹化-羽化
未記録2-3日1-2日8-9日約2日約2日

※育成日数は、飼育水温や栄養状態などの条件で多少前後します。また、今回は確認したサンプル数が少ないため、あくまで参考程度にみてください。

チビゲンゴロウ 、幼虫の飼育方法

今回の繁殖で、幼虫の育成に用いたものなどを参考までに紹介します。

幼虫の飼育容器

成虫同様、飼育には100円ショップで購入した小型タッパー(8×6×3センチ)を使用しました。

タッパーには、汲み置きした水道水を水深5ミリ程度入れています。幼虫の飼育には、上陸させるまでフタは必要ありません。

また、幼虫の足場用の水草や鉢底ネット等も必要ありません。

幼虫のエサ

アルテミアを捕食したチビゲンゴロウの幼虫。
赤虫を食べるチビゲンゴロウの幼虫。

幼虫のエサには、アルテミアのふ化幼生と市販の冷凍赤虫を使用しました。

エサやりの頻度は、1日1回とし、冷凍赤虫は各齢期の体サイズに合った細いものをピンセットで選別し、容器の底に沈めるようにして与えました。

冷凍赤虫だけでも成虫まで育成できますが、特に1齢幼虫の中には赤虫を摂餌できない個体がいたので、アルテミアのふ化幼生があるとより安心です。

また、今回の育成では使用しませんでしたが、ミジンコなども捕食するためエサとして利用できます。

ミジンコを捕食するチビゲンゴロウ幼虫

水換え

水換えは、スポイトを用いて食べ残し等の汚れを取り除き、汲み置きした水道水で毎日、減った分の水を補給水しました。

成虫同様、飼育水の汚れやにおい、水面に油膜があるときはこまめに水換えする必要があります。

水温と光条件

幼虫も成虫同様、室温管理と窓からの自然光のみで育成しました。

チビゲンゴロウ、 孵化幼虫

とても小さなチビゲンゴロウのふ化幼虫。

エサは、冷凍赤虫の中でもなるべく小さく、細いものを与えると食べてくれます。アルテミアのふ化幼生は、チビゲンゴロウの繁殖にあると便利なエサのひとつです。

また、繁殖に成功した時は、幼虫の泳ぎ方にもぜひ注目してほしいです。クルクルと回転しながら活発に泳ぎ回ります。面白いですよ。

チビゲンゴロウ、 2齢幼虫

1齢幼虫は2〜3日で脱皮しました。2齢幼虫になると大きめ赤虫も食べてくれるようになります。

水温が高いとあっという間に脱皮してしまいます。

チビゲンゴロウ 、3齢幼虫

2齢幼虫は1〜2日で脱皮しました。3齢幼虫は大きめの赤虫でもよく食べます。

チビゲンゴロウ 、上陸直前の幼虫

3齢幼虫は8〜9日でエサを食べなくなりました。そのタイミングで強制上陸させています。

チビゲンゴロウ、上陸方法

上陸容器にも幼虫飼育と同じ小型タッパーを使用しましたが、100円ショップで販売されているマヨネーズカップ(直径4×高さ2.5センチ)などのより小型の容器で代用できます。

上陸容器には、水道水であらかじめ加湿しておいたピートモスを3〜4ミリ程度の厚さになるように入れ、その上に幼虫をのせました。幼虫は小さいのでピートモス自体は、容器の一部に敷く程度で全く問題ありません。

ピートモスについて

ピートモスは、ホームセンターの園芸コーナー等で購入できます。

水道水で加湿したピートモスは、軽く手で絞って水が落ちる程度の状態のものを使用しています。上陸させた幼虫がうまく蛹室を作れないときは、ピートモスの水分量があっていない可能性があるので、状況を見て水分量を調整してください。

幼虫は上陸させた土の上を歩き回り、表面の浅い場所に潜り、蛹室を作ります。

チビゲンゴロウ 、蛹化

上陸をさせてから約2日で蛹化していました。小さくてかわいいですね。

今回はやさしく土を掘って蛹化のタイミングを観察しています。

チビゲンゴロウ 、羽化

蛹化から約2日で羽化していました。しばらく土の中で過ごしてから脱出してきます。写真は脱出後に水に入れた時の様子です。

チビゲンゴロウは、どこにでもいる普通種のゲンゴロウです。2ミリ程度と小型のためタッパー等を使って飼育や繁殖を簡単に楽しむことができます。また、幼虫のクルクルと回転しながら泳ぐ姿もおすすめの観察ポイントですよ。

本記事がチビゲンゴロウや同属のゲンゴロウ類の繁殖の参考になればうれしいです。

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