【飼育方法】オオミズスマシを繁殖させてみた

「この記事はPRを含みます」

オオミズスマシを飼育下で繁殖させて幼虫を育ててみました。

本記事では、オオミズスマシ成虫の簡易的な飼い方や卵の産ませ方、幼虫の育成方法についてまとめてみました。

オオミズスマシ

分類:ミズスマシ科オオミズスマシ属

和名:オオミズスマシ

学名Dineutus orientalis

体長7〜12ミリ程のミズスマシの仲間です。背面には金属光沢があり、上翅は黄色で縁取られています。捕まえると爽やかな匂いがします。

止水域や流れが緩やかな場所に生息し、繁殖期は5〜8月頃です。

オオミズスマシの繁殖に取り組んだ時期

今回、オオミズスマシの繁殖に取り組んだのは4月から6月(採卵〜幼虫育成)です。

オオミズスマシ、成虫の飼育方法(簡易版)

日々のメンテナンスや採卵のしやすさなど、繁殖に重点を置いた簡易的なオオミズスマシの飼育方法をご紹介します。

成虫の飼育容器

成虫の飼育には、30センチのガラス製キューブ水槽を使用し、汲み置きした水道水を水深15センチ程度入れました。管理時以外は脱走防止のため、既存のフタをしています。水面を高速ですいすいと泳ぎ回るため、水面が大きな方がミズスマシ類の飼育には適していると考えられます。

ろ過には、投げ込み式フィルター(商品名:ロカボーイS)を入れ、エアポンプで弱い通気を行い、水面に油膜ができないようにしました。

また、水面がおもな活動場所のため、休憩場所として水面に浮葉をひろげる水草のトチカガミを複数浮かべました。

今回の飼育では、オスとメスを各3個体、同居飼育しました。

成虫のエサ

成虫のエサは、毎日、市販の冷凍赤虫を適量与えました。

※飼育におすすめのこだわり赤虫はamazonでは販売してません

エサやりの頻度は、1日1〜2回程度とし、食べ残しが出ないように注意しました。

ミズスマシの仲間は、水面に落ちてきた虫などを捕食するため、餌の赤虫が水中に沈むとほとんど食べません。そこで今回は、水面近くのガラス面に赤虫を貼り付けたり、トチカガミの浮葉の縁に赤虫をのせたり、キッチンペーパーで軽く水分を取った赤虫を水面に浮かべるなどして、餌の与え方に工夫をしました。

繁殖を狙う場合は、成虫に餌をしっかり与え、栄養状態をよくすることはとても大切です。

水換え

水換えは、1週間に1回を目安に水槽の1/2の量を汲み置きした水道水で行いました。

飼育水の汚れやにおい、濁りがあるときは、水換えが必要です。

水温と光条件

水温は、エアコンの設置されてない4月の室温で管理し、13〜22℃程度(平均約17℃)でした。

また、水槽上部に観賞魚用のLEDライトを設置し、6:30〜21:30の間点灯しました(L:D=15:9)。

産卵基質(産卵床)

オオミズスマシは、水中の植物の表面に産卵します。今回の繁殖では産卵基質として、トチカガミを使用しました。

トチカガミは、水面で活発に泳ぎ回るオオミズスマシの足場(休憩場所)や餌をのせる場所、そして産卵基質としても使える水草で、とても優秀でした。このほかの水草でも産卵はするので、いろいろ試してみると面白そうです。

オオミズスマシ、ペアリング

今回の繁殖では、雌雄を同居させて飼育していたため、個別にペアリングは行いませんでした。

観察中に交尾行動は見られませんでしたが、おそらく水槽内で交尾していたものと思われます。

オスとメスの見分け方

オオミズスマシのオス、前肢は吸盤状
オオミズスマシのメス、前肢には吸盤はない

オオミズスマシの雌雄の判別は、オスの前肢にある吸盤で見分けることができます。メスの前肢には吸盤はありません。

水面で高速移動するため前肢を観察するのはとても大変です。

チャック付きポリ袋に入れて腹側をじっくり観察することをおすすめします。上の写真もチャック付きポリ袋入れて撮影したものです。

オオミズスマシ、産卵のさせ方

4月下旬、水槽内に入れておいたトチカガミの浮葉裏を観察すると、びっしり産卵しているのを確認できました!

そこでそのトチカガミを取り出して、汲み置きした水道水を入れたタッパーに入れておくと採卵から約11日程度で孵化がはじまりました!

オオミズスマシ、各成長段階の平均日数

孵化1-2齢2-3齢3齢-上陸上陸-蛹化蛹化-羽化孵化-羽化
117.55.67.53.35.028.5

※育成日数は、飼育水温や栄養条件などの条件で多少前後すると考えられます。

オオミズスマシ、幼虫の飼育方法

今回の繁殖で、幼虫の育成に用いたものなどを参考までに紹介します。

幼虫の飼育容器

幼虫の飼育には、100円ショップで購入したマヨネーズカップ(直径4×高さ2.5センチ)を使用しました。カップには、汲み置きした水道水を水深5ミリ程度入れています。

幼虫の飼育には、フタは使用しませんでしたが、上陸直前の3齢幼虫はカップから脱走することがありました…。

幼虫のエサ

幼虫のエサは、各齢期すべて市販の冷凍赤虫のみを使用しました。

エサやりの頻度は、朝夕1回、食べ残しが少し出るぐらい多めに与えました。

水換え

水換えは、スポイトを用いて汲み置きした水道水で毎日、ほぼ全量を朝夕各1回交換しました。成虫同様、飼育水の汚れやにおいがあるときはこまめに水換えする必要があります。

水温と光条件

幼虫の飼育水温は、5月の室温で管理し、16〜23℃でした。また、光条件は自然光のみで育成しました。

オオミズスマシ、孵化幼虫

産卵したトチカガミからは、約11日で孵化してきました。腹部には長いとげ(気管鰓)がある特徴的な姿をしています。体をクネクネさせるので見ていて面白いです。

孵化幼虫は、からだが固まると入れて置いた赤虫を摂餌するようになります。冷凍赤虫だけで育成できたのでエサの面ではとても安心でした。

オオミズスマシ、2齢幼虫

平均7.5日ほどで脱皮をして2齢幼虫になりました。ほんのり緑色です。

オオミズスマシ、3齢幼虫

平均5.6日ほどで脱皮をして3齢幼虫になりました。腹部は美しい色です。

オオミズスマシ、上陸直前の幼虫

3齢幼虫は平均7.5日で強制上陸させました。

上陸直前の幼虫は、餌を食べなくなり、透けて見えていた消化管がほぼ空になっています。また、写真のように美しい模様がはっきりしてくる、この状態が上陸のタイミングです。

タイミングを逃すと、カップの中で溺れたり、カップから脱走してしまいます。餌を食べなくなったタイミングで強制上陸させるのが一番安心です。

オオミズスマシ、上陸方法

上陸には、透明プラスチックカップ(直径5.6×高さ3.5センチ)を使用しました。カップには、水道水であらかじめ加湿しておいたピートモスを5ミリ程度入れ、その上に幼虫をのせます。

ピートモスについて

ピートモスは、ホームセンターの園芸コーナー等で購入できます。

水道水で加湿したピートモスは、軽く手で絞って水が落ちる程度の状態のものを使用しています。

上陸させた幼虫がうまく蛹室を作らないときは、ピートモスの水分量があっていない可能性がるので、状況を見て水分量を調整してください。

オオミズスマシ、土繭(蛹室)

強制上陸させると約1〜2日で写真のような球状の蛹室(土繭)を、カップ側面の高い位置に作りました。

土の中に潜らず、土繭を作るので、観察するととても面白いですよ。幼虫はこんなに体がやわらかいのかと驚きました。

土繭を作るオオミズスマシ(タイムラプス動画)はこちら↓

オオミズスマシ、蛹化

強制上陸から平均3.3日で蛹化しました。

今回は蛹化のタイミングを確認するため、蛹室の中を毎日観察しています。

オオミズスマシ、羽化

蛹化した個体は、平均5.0日ほどで土繭の中で羽化していました。数日後、蛹室から脱出してきました。

産卵から羽化は約39.5日、孵化から羽化は約28.5日でした。

オオミズスマシ、新成虫

オオミズスマシは、産卵数も多く、冷凍赤虫だけでも今回は育成できました。全国的には減少傾向にある水生昆虫です。飼育方法や繁殖方法を調べることは、今後の保全活動にも役に立つ日がくるのではないかと考えています。

オオミズスマシを飼育する機会があれば、繁殖もねらってみてはいかがでしょうか。本記事がオオミズスマシやミズスマシ類の繁殖の参考になればうれしいです。

コメントを残す