【飼育方法】ルイスツブゲンゴロウを繁殖させてみた

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ルイスツブゲンゴロウを飼育下で繁殖させて幼虫を育ててみました。

本記事では、ルイスツブゲンゴロウ成虫の簡易的な飼い方や卵の産ませ方、幼虫の育成方法についてまとめてみました。

ルイスツブゲンゴロウ解説

分類:ゲンゴロウ科ツブゲンゴロウ属

和名:ルイスツブゲンゴロウ

学名:Laccophilus lewisius

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ルイスツブゲンゴロウは、体長4ミリ程度の小型のゲンゴロウです。上翅には美しい縦じま模様があり、別名「タテナミツブゲンゴロウ」とも呼ばれています。

平野部の水のきれいなため池などに生息していますが、全国的に生息地が減少しているようです。

ルイスツブゲンゴロウの繁殖に取り組んだ時期

今回、ルイスツブゲンゴロウの繁殖に取り組んだのは5月です。

ゲンゴロウのなかまは、種類によって繁殖期が異なります。また、自然下での詳細な繁殖期が分かっていない種もまだ多くいます。

飼育下で繁殖に取り組んだ場合、飼育条件によっては本来の繁殖期ではない時期に産卵することもあります。

ルイスツブゲンゴロウ、成虫の飼育方法(簡易版)

今回は、水換えや掃除などの日常の飼育管理のしやすさや採卵のしやすさ(繁殖)に重点を置いた、簡易的なルイスツブゲンゴロウの飼育方法をご紹介します。

成虫の飼育容器

成虫の飼育には、100円ショップで購入した小型のタッパー(11.5×8×4.5センチ)を使用し、汲み置きした水道水を水深3センチほど入れました。

脱走防止のため管理の時以外はフタをします。また、既存のフタは気密性が高いので、小さな穴を複数開けて通気性を良くしておくことをおすすめします。

成虫のエサ

成虫のエサは、市販の冷凍赤虫を解凍して適量を与えました。

エサやりの頻度は、1日1〜2回程度とし、食べ残しが出ないように量を調整しました。

水換え

水換えは、3日に1回を目安に全量を汲み置きした水道水で行いました。

飼育水の汚れやにおいがあるときはその都度水換えが必要です。

水温と光条件

水温は、エアコンが設置されていない5月の室温で管理しました。

また、専用の照明は設置せず、光条件は窓から入る自然光のみです。

産卵基質(産卵床)

産卵基質には、アマゾントチカガミを使用しました。

ルイスツブゲンゴロウ、産卵のさせ方

飼育容器に、成虫6個体を入れてペアリングしました。

ルイスツブゲンゴロウは、植物の組織内に産卵するタイプなのか、それとも植物などの表面に卵を産み付けるタイプなのか分からなかったので、どちらにも応用が効きそうなアマゾントチカガミ(浮葉直径1〜1.5センチ程度)を産卵基質として水面に浮かべて使用しました。

毎日、アマゾントチカガミを取り上げて観察していると、ある日、浮葉の裏にあるスポンジ部分(浮嚢)に小さなツブツブがあるように見えました。肉眼でははっきりと観察できないサイズなので、写真を撮って拡大してみると卵であることがわかりました。

ルイスツブゲンゴロウは、今回の観察から植物の組織内に産卵するタイプと考えられました。

産卵基質には、スポンジ状の部分がある水草などが適していそうです。アマゾントチカガミのほかに、コカナダモにも産卵することを後日、確認しています。

採卵は、アマゾントチカガミを新しいものと交換する方法で行い、産卵済みのものは孵化するまで汲み置きした水道水を入れた適当な容器に浮かべて室温で管理しました。

ルイスツブゲンゴロウ、発生卵

容器の底に産卵基質から落ちてた卵があったので観察すると、眼が透けて見え、発生しているのが分かりました。

写真の背景にある1目盛は1ミリです。

ルイスツブゲンゴロウ、各成長段階の平均日数

1-2齢2-3齢3齢-上陸上陸-羽化
4.44.610.410.2

※育成日数は、飼育水温や栄養状態などの条件で多少前後すると考えられます。また、今回は卵の期間や蛹化日数は確認していません。

ルイスツブゲンゴロウ、幼虫の飼育方法

幼虫の飼育容器

幼虫の飼育には、100円ショップで購入したお弁当用のマヨネーズカップ(直径4×高さ2.5センチ)を使用しました。カップには、汲み置きした水道水を水深5ミリ程度入れています。幼虫の飼育には、フタは使用していません。

ゲンゴロウ類の幼虫は共食いすることが知られているため、小さなカップ等で個別飼育することをおすすめします。

幼虫のエサ

幼虫のエサには、成長段階に合わせてアルテミアの孵化幼生と解凍した冷凍赤虫の2種類を使用しました。

エサやりの頻度は、朝夕各1回、少し食べ残しがでるぐらい多めに与えました。

アルテミアを捕食するルイスツブゲンゴロウ孵化幼虫

孵化幼虫(1齢幼虫)から2齢幼虫の途中までは、アルテミアの孵化幼生を与えました。

上の写真はアルテミアを捕食している様子です。アルテミアを与えるとすぐに反応したので、自然下でも小型のプランクトンなどを捕食していると思われます。

アルテミアの給餌は、赤虫を食べるようになったら終了して大丈夫です。

赤虫を食べるルイスツブゲンゴロウ幼虫

2齢幼虫の途中からは市販の冷凍赤虫を併用し、3齢幼虫は赤虫だけで育成を行いました。

赤虫を食べるようになると育成が楽になります。1齢幼虫も小さな赤虫や刻んだ赤虫を食べるかもしれませんが今回は試せていません。

水換え

水換えは、スポイトを用いて汲み置きした水道水で毎日、ほぼ全量を夕方に1回行いました。成虫同様、飼育水の汚れやにおいがあるときはこまめに水換えが必要です。

水温と光条件

幼虫も成虫同様、室温管理と窓からの自然光のみで育成しました。

ルイスツブゲンゴロウ、孵化幼虫

孵化幼虫はとても小さく、体長は2ミリ以下。

写真はカメラの顕微鏡モードで拡大した様子です。意外にアゴがしっかりしている印象。このアゴで与えたアルテミアを捕食していました。

ルイスツブゲンゴロウ、2齢幼虫

平均4.4日ほどで脱皮をして2齢幼虫になりました。体長は約4ミリ。

からだは、捕食したアルテミアの色で消化管がオレンジ色に透けて見えます。

ルイスツブゲンゴロウ、3齢幼虫

平均4.6日ほどで脱皮をして3齢幼虫になりました。写真の個体は体長8ミリほど。

3齢幼虫になれば、赤虫だけで順調に成長します。そして成長が進むと体色が、徐々に緑色に変化してきます。

ルイスツブゲンゴロウ、上陸直前の幼虫

3齢幼虫は平均10.4日で強制上陸させました。

上陸直前の幼虫は、透けて見えていた消化管の前半部分がほぼ空で、さらに写真のように鮮やかな緑色になります。この状態が上陸のタイミングです。

ルイスツブゲンゴロウ、上陸方法

上陸にも幼虫の飼育に使用しているマヨネーズカップを使いました。カップには、水道水であらかじめ加湿しておいたピートモスを半分程度まで入れています。

そこにルイスツブゲンゴロウの幼虫を強制上陸させると、くぼみに潜り込み、アゴを器用に使って土を集め、壁や天井を作りました。小さな幼虫が土繭を作る様子は一所懸命で可愛らしいです。

ピートモスについて

ピートモスは、ホームセンターの園芸コーナー等で購入できます。

水道水で加湿したピートモスは、軽く手で絞って水が落ちる程度の状態のものを使用しています。

上陸させた幼虫が蛹室をなかなか作らない時は、ピートモスの水分量があっていない可能性があるので、状況によって水分量を調整してください。

ルイスツブゲンゴロウ、蛹化

上陸させた幼虫と同じように、蛹もきれいな緑色をしていました。繁殖させてみてはじめて蛹の色を知ることができ、感動しました。

写真は、観察のために蛹室の天井を取り除いています。本繁殖では、蛹化日数は調べていないので不明です。

ルイスツブゲンゴロウ、羽化

強制上陸から平均10.2日ほどで羽化しました。縦じま模様が美しい!

孵化から羽化までの平均日数は、29.5日でした。

ルイスツブゲンゴロウ、新成虫

今回の繁殖では、気がつけば80個体以上の新成虫を羽化させることに成功しました!さすがに幼虫の育成数が多く、日々の管理が大変でしたが…

ルイスツブゲンゴロウは、全国的に生息地が減少傾向にある小型のゲンゴロウです。

今回は、孵化日数や蛹化日数などの記録ができませんでしたが、ルイスツブゲンゴロウやそのほかの小型のゲンゴロウ類の繁殖の参考になればうれしいです。

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