【飼育方法】ウスイロシマゲンゴロウを繁殖させてみた

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ウスイロシマゲンゴロウを飼育下で繁殖させて幼虫を育ててみました。

本記事では、ウスイロシマゲンゴロウ成虫の簡易的な飼い方や卵の産ませ方、幼虫の育成方法についてまとめてみました。

ウスイロシマゲンゴロウ解説

分類:ゲンゴロウ科シマゲンゴロウ属

和名:ウスイロシマゲンゴロウ

学名:Hydaticus rhantoides

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体長10ミリ程度の中型のゲンゴロウです。上翅には黒くて小さな斑点が密にあります。

ため池など止水域に生息しており、幼虫は5月から8月に確認されているようです。

ウスイロシマゲンゴロウは、ヒメゲンゴロウにそっくり?

ツイートの左側がウスイロシマゲンゴロウ、右側がヒメゲンゴロウです。

見た目が本当にそっくりで、最初は見分けられませんでした頭部の模様などをよく観察すると見分けることができます。

ウスイロシマゲンゴロウの繁殖に取り組んだ時期

今回、ウスイロシマゲンゴロウの繁殖に取り組んだのは10月です。本来の繁殖期とは異なるものと考えられます。

ゲンゴロウのなかまは、種類によって繁殖期が異なります。また、自然下での詳細な繁殖期が分かっていない種もまだ多くいます。

飼育下で繁殖に取り組んだ場合、飼育条件によっては本来の繁殖期ではない時期に産卵することもあります。

ウスイロシマゲンゴロウ、成虫の飼育方法(簡易版)

今回は、メンテナンスのしやすさや採卵のしやすさ(繁殖)に重点を置いた、簡易的なウスイロシマゲンゴロウの繁殖方法をご紹介します。

成虫の飼育容器

成虫の飼育には、100円ショップで購入した小型プラスチックケース(17×11×8.5センチ)を使用し、汲み置きした水道水を水深4〜5センチ程度になるように入れました。

管理時以外は脱走防止のため、既存のフタをしています。

成虫のエサ

成虫のエサは、市販の冷凍赤虫を解凍して適量を与えました。

エサやりの頻度は、1日1〜2回程度とし、食べ残しが出ないように注意しました。

※飼育におすすめのこだわり赤虫はamazonでは販売してません

水換え

水換えは、3日に1回を目安に全量を汲み置きした水道水で行いました。

飼育水の汚れやにおいがあるときは、水換えが必要です。

水温と光条件

水温は、エアコンの設置されてない10月の室温で管理しました。

また、専用の照明は設置せず、光条件は窓から入る自然光のみです。

産卵基質(産卵床)

ウスイロシマゲンゴロウは、植物の組織内に産卵するため、今回の繁殖では産卵基質としてホテイアオイを使用しました。

ウスイロシマゲンゴロウ、ペアリング

10月中旬で上手くいくか分かりませんでしたが、試しにそれぞれ個別飼育していたオスとメスを同じ容器に入れてみました。するとすぐに交尾行動が確認できました。交尾後はオスを取り出して管理しています。

ちなみにオスを取り出した理由は、何度も交尾するとメスが疲れたり、落ち着いて産卵できないのではないかと考えられたためです。

オスとメスの見分け方

ウスイロシマゲンゴロウの雌雄の判別は、オスの前肢にある吸盤で簡単に見分けることができます。メスの前肢には吸盤はありません。

ウスイロシマゲンゴロウ、産卵のさせ方

交尾後はオスを取り出し、メスの飼育容器にホテイアオイを1株だけ入れてしばらく観察してみました。

数日後、ホテイアオイのスポンジ状の部分に小さな噛みあと(産卵痕)が見つかりました。そこでそのホテイアオイを取り出して、汲み置きした水道水を入れた適当なタッパーに入れておくと採卵から約5日程度で孵化がはじまりました!

今回行った繁殖では、メス1個体から30日間採卵した結果、374粒も回収できました。思っていた以上に多産することが分かりました。

また、産卵痕のあるホテイアオイは、毎日、新しいものと交換して孵化日数を調べてみました。

ウスイロシマゲンゴロウ、各成長段階の平均日数

1-2齢2-3齢3齢-上陸上陸-蛹化蛹化-羽化
5.23.95.07.65.06.4

※育成日数は、飼育水温や栄養状態などの条件で多少前後すると考えられます。また、羽化後はしばらく蛹室内にとどまった後、羽化脱出してくるため、実際の育成期間はもう少し長くなります。

ウスイロシマゲンゴロウ、幼虫の飼育方法

幼虫の飼育容器

幼虫の飼育には、100円ショップで購入したお弁当用のマヨネーズカップ(直径4×高さ2.5センチ)を使用しました。カップには、汲み置きした水道水を水深5ミリ程度入れています。幼虫の飼育にはフタは使用しませんでした。

ゲンゴロウ類の幼虫は、共食いすることが知られているため、個別飼育することをおすすめします。

幼虫のエサ

幼虫のエサは、各齢期すべて市販の冷凍赤虫のみを使用しました。

エサやりの頻度は、朝夕各1回、少し食べ残しが出るぐらい多めに与えました。

水換え

水換えは、スポイトを用いて汲み置きした水道水で毎日、ほぼ全量を朝夕各1回交換しました。成虫同様、飼育水の汚れやにおいがあるときはこまめに水換えする必要があります。

水温と光条件

幼虫も成虫同様、室温管理と窓からの自然光のみで育成しました。

ウスイロシマゲンゴロウ、孵化幼虫

ウスイロシマゲンゴロウの孵化幼虫は、薄い黒色をしています。体長は平均5.1ミリほどでした。

容器の底に解凍した赤虫を入れておくと、幼虫はすぐに摂餌しました。生き餌でなくても食べてくれるので、エサの面では育成は簡単そうです。

ウスイロシマゲンゴロウ、2齢幼虫

平均5.0日ほどで脱皮をして2齢幼虫になりました。脱皮直後の平均体長は8.2ミリほど。

ウスイロシマゲンゴロウ、3齢幼虫

平均9.1日ほどで脱皮をして3齢幼虫になりました。脱皮直後の平均体長は13.4ミリほど。

赤虫だけでも順調に成長します。

ウスイロシマゲンゴロウ、上陸直前の幼虫

3齢幼虫は平均7.6日で強制上陸させました。

上陸直前の幼虫は、透けて見えていた消化管の前半部分がほぼ空になっています。この状態が上陸のタイミングです。上陸直前の幼虫の体長は18.8ミリほど。

ウスイロシマゲンゴロウ、上陸方法

上陸にも幼虫と同じマヨネーズカップを使用しました。カップには、水道水であらかじめ加湿しておいたピートモスを半分程度まで入れ、その上に幼虫をのせます。

ピートモスについて

ピートモスは、ホームセンターの園芸コーナー等で購入できます。

水道水で加湿したピートモスは、軽く手で絞って水が落ちる程度の状態のものを使用しています。

上陸させた幼虫が蛹室をなかなか作らない時は、ピートモスの水分量があっていない可能性があるので、状況によって水分量を調整してください。

ウスイロシマゲンゴロウ、土繭(蛹室)

幼虫を強制上陸させると1日以内に写真のような球状の蛹室(土繭)を土の表面に作りました。

土繭を作る様子が観察できるのでとても面白い!

ウスイロシマゲンゴロウ、蛹化

上陸から平均5.0日ほどで蛹化しました。

今回は蛹化のタイミングを確認するため、蛹室の中を毎日観察しています。

ウスイロシマゲンゴロウ、羽化

蛹化した個体は、平均6.4日ほどで土繭の中で羽化しました。新成虫の体長は平均9.5ミリ。

今回は、本来の繁殖期とは違うと考えられる10月に飼育下で繁殖させてみました。今後は野外で幼虫が見つかっている5月から8月にまた繁殖に取り組み、育成日数などに違いが見られるのかどうか調べてみたいです。

ウスイロシマゲンゴロウは、地域によっては見かける機会が少ない種類ですが、オスとメスのペアがいれば意外と簡単に繁殖させることができるかもしれません。本記事がウスイロシマゲンゴロウや同属のゲンゴロウ類の繁殖の参考になればうれしいです。

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