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ゲンゴロウのなかまを繁殖させていると、ときどき産卵床の水草に上手く産卵できず、容器の底に卵が落ちていることがあります。
もうこの卵はダメかな?と思うかもしれませんが、まだあきらめるのは早いです!
本記事では、容器の底に落ちていたクロゲンゴロウの卵をスポンジの上でふ化させ、成虫まで育成した方法をご紹介します。
分類:ゲンゴロウ科ゲンゴロウ属
和名:クロゲンゴロウ
学名:Cybister brevis
体長20〜25ミリのゲンゴロウのなかまです。背中は光の当たり具合で美しい緑や黒褐色に見えます。
水草の多い、ため池や湿地に生息しています。産卵は水生植物の組織内に行い、幼虫は5〜8月に見つかっています。
クロゲンゴロウ、繁殖に用いた産卵床
今回、クロゲンゴロウの産卵床に用いたのはホテイアオイです。春先になるとホームセンターやペットショップの熱帯魚コーナーで、メダカの産卵用に売られているものをよく見かけます。
ホテイアオイには、スポンジ状に膨らんだ部分があり、植物の組織内に産卵するタイプのゲンゴロウ類の産卵床として最適です。
クロゲンゴロウは、産卵に適した植物をガジガジとかじって、その中に本来は産卵します。産卵床の植物の種類や大きさがあっていないと上手く産卵できず、ポロリと卵が落ちてしまうことがあります。
容器の底に産み落とされた卵を見つけたら?
上の写真は、実際に容器の底に産み落とされていたクロゲンゴロウの卵を集めたものです(1日分ではありません)。黄色くて細長い卵です。
もし、容器の底にこのような卵を見つけたときは、卵を傷つけないようにスポイトなどで優しく回収し、湿らせたスポンジ上でしばらく育成してみてください。
上手くいくと卵の発生が進み、せっかくの卵を無駄にせず、繁殖や観察を楽しむことができます。
写真で使用しているスポンジは、100円ショップで購入した厚さ5ミリ程度のメラミンスポンジです。
小型のタッパーにスポンジを入れ、あらかじめ1日以上汲み置きしておいた水道水を、スポンジがひたひたになる程度入れています。
水が多すぎると、卵がスポンジから流されて落ちてしまうので注意してください。
クロゲンゴロウ、スポンジ上での卵の管理方法
回収した卵は、発生が進むと眼が透けて見えるよになり、写真のようにだんだん黒っぽく変化してきます。
ここまでに気をつける卵の管理が2つあります。
一つ目が、蒸発しないように定期的に補給水することです。汲み置きした水道水で、卵の周りに水が少しくる程度に調整してください。完全に卵を水没させない方が成績が良かったです。
二つ目が、発生が進んでいない卵の回収です。やはり回収した卵の中には未発生のものがあります。そのままにしておくと卵にカビが生え、せっかく順調に発生していた卵にまで悪影響をおよぼすことがあります。もし発見した時は、こまめに回収しましょう。また、卵同士が触れないように間隔をあけて配置するのもポイントです。
クロゲンゴロウ、スポンジ上でもちゃんとふ化
スポンジ上で管理した卵も無事にふ化することを確認することができました。
そんなに手間もかからないので、もしもの時はオススメの方法だと考えています。なんと言ってもせっかく産卵してくれた貴重な卵を無駄にせず、大事に育成できる点は飼育者としてうれしいですよね。
クロゲンゴロウ、幼虫の共食いには注意
今回の方法では、スポンジ上で複数の卵を管理しています。そのため、ふ化幼虫同士で共食いすることがあります。
特に産卵日が同じぐらいの卵を一緒にしておくと、孵化日が重なり共食いのリスクが高くなります。ふ化幼虫を発見したら早めに個別飼育するのがおすすめです。
個別飼育には、100円ショップ等で購入できる透明なプラスチックカップがオススメです。
クロゲンゴロウ、スポンジ上でふ化させた幼虫はちゃんと羽化する?
スポンジ上でふ化させた幼虫が、ちゃんと蛹化して羽化するのか検証してみました。
結果から言うと植物に産卵させてふ化した幼虫と全く変わらず育成することができました。また、幼虫に奇形なども今回は見られませんでした。
今回は、クロゲンゴロウでの観察でしたが、ゲンゴロウ類の繁殖をしていると、容器の底に産み落とされた卵を見かけることが意外とあります。せっかく産卵したのですぐにあきらめず、試しにスポンジの上で卵の育成をしてみてはいかがでしょうか。もしかすると上手く育成できるかもしれませんよ!