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エサキアメンボを飼育下で繁殖させて幼虫を育ててみました。
本記事では、エサキアメンボの簡易的な飼い方や卵の産ませ方、幼虫の育成方法についてまとめてみました。
分類：アメンボ科セアカアメンボ属
和名：エサキアメンボ
学名：Limnoporus esakii
体長8〜10ミリ程度。体の側面が銀白色に輝く美しいアメンボ。触角が長く、体長の半分程度ある。
植物が豊富な止水域に生息。
エサキアメンボの繁殖に取り組んだ時期
今回、エサキアメンボの繁殖に取り組んだのは4月から5月です。
エサキアメンボ、成虫の飼育方法（簡易版）
日々のメンテナンスや採卵のしやすさなど、繁殖に重点を置いた簡易的なエサキアメンボの飼育方法をご紹介します。
成虫の飼育容器
成虫の飼育には、100円ショップで購入したプラスチックケース（26×18×15.5センチ）を使用し、汲み置きした水道水を水深3〜4センチ程度入れました。管理時以外は脱走防止のため、既存のフタをしています。
アメンボは水面で生活するため、自然界では水面に浮葉をひろげる水草などの上で休むことがあります。
今回は、水草の代わりに厚さ5ミリのプラスチックボードを、適当なサイズにカットして水面に浮かべました。また、アメンボが登りやすいように、プラスチックボードの側面を斜めに切り落としてスロープ状に加工しました。
成虫のエサ
成虫のエサは、毎日、市販の冷凍赤虫を適量与えました。
アメンボは、水中に沈んだエサは食べません。そこで水草の代わりに浮かべたプラスチックボードをエサ置き場にし、その上に解凍した赤虫を適量置きました。
エサやりの頻度は、1日1回程度です。エサ置き場のプラスチックボードは食べ残しで汚れるため、毎回、水洗いが必要です。
水換え
水換えは、3日に1回を目安に全量を汲み置きした水道水で行いました。
アメンボは水面で生活するため、水面に油膜があるときは水換えが必要です。また、飼育水の汚れやにおいがあるときも同様です。
水温と光条件
水温は、エアコンの設置されてない室温で管理しました。
また、専用の照明は設置せず、光条件は窓から入る自然光のみです。
産卵基質
アメンボのなかまは、一般的に水面に近い水中の石や水草、流木などに産卵します。
今回の繁殖では、水面に浮かべたプラスチックボードを産卵基質に代用しました。
スイレンなどの水面に浮葉をひろげる水草の方がより自然に近い状態ですが、水草が枯れないように管理する手間がかかるため今回は使用しませんでした。
エサキアメンボ、ペアリング
今回は、オスとメスを同じ容器に複数個体入れて飼育を開始しました。
飼育中は定期的に交尾するのを観察できました。
オスとメスの見分け方
エサキアメンボの雌雄の判別は、腹面から観察して腹端の違いで見分けることができます。
観察しにくいときは、チャック付きポリ袋に入れて腹側をじっくり観察すると見分けやすいです。
また、体サイズがオスの方がメスよりも小型になる傾向がエサキアメンボにはあると思います。
エサキアメンボ、採卵方法
交尾を確認してからしばらくすると、産卵基質として入れておいたプラスチックボードに産み付けられた複数の卵を見つけました。
採卵はプラスチックボードごと取り出して行い、100円ショップで購入したタッパー（11.5×8×5センチ）に入れ、孵化するまで管理しました。飼育水は汲み置きした水道水を水深2センチ程度入れています。
エサキアメンボ、幼虫の飼育方法
今回の繁殖で、幼虫の育成に用いたものなどを参考までに紹介します。
幼虫の飼育容器
幼虫の飼育には、採卵後の管理に使用したタッパーをそのまま使用し、
4齢幼虫以降の飼育には、100円ショップで購入した小型プラスチックケース（17×11×8.5センチ）を使用しました。
どちらの容器にも、汲み置きした水道水を水深1〜2センチ程度入れています。
幼虫飼育には、容器内の蒸れを防ぐためフタは使用しませんでした。
4齢幼虫から容器を変更した理由は、幼虫のサイズが大きくなり容器内が狭くなったことと、ジャンプして容器から飛び出すことがあったためです。
また、成虫同様、プラスチックボードを水面に浮かべて幼虫が休憩する足場やエサ置き場として使用しました。
幼虫の飼育のポイント
今回、育成したエサキアメンボの幼虫は、複数飼育してもあまり共食いは見られませんでした。以下の点に気をつけて飼育しています。
なるべく孵化日が同じ幼虫を一緒に飼育するようにしました。孵化日があまりにも異なると共食いのリスクが高まります。
また、脱皮した幼虫は別容器に取り出し、同じ齢期の幼虫をなるべく一緒に飼育するように注意しています。
幼虫のエサ
幼虫のエサは、各齢期すべて市販の冷凍赤虫のみを使用しました。
成虫同様、水中に沈んだエサは食べないため、プラスチックボード上に解凍した赤虫を置いて与えました。
エサやりの頻度は、1日1回、食べ残しが少し出るぐらい多めに与えました。また、エサ置き場のプラスチックボードは食べ残しで汚れるため、毎回、水洗いが必要です。
水換え
水換えは、毎日、飼育容器を入れ替えて行いました。
新しい容器に汲み置きした水道水を入れておき、そこに計量スプーンなどを使って幼虫をそっと移して行いました。
成虫同様、水面に油膜等がある時はこまめに水換えする必要があります。
水温と光条件
幼虫も成虫同様、室温管理と窓からの自然光のみで育成しました。
エサキアメンボ、孵化幼虫
孵化幼虫はとても小さいですが、しばらくすると赤虫を摂餌するようになります。
生き餌など必要なく、冷凍赤虫だけで育成できるのでエサの面では安心です。
エサキアメンボ、2齢幼虫
脱皮直後は白い姿をしています。
エサキアメンボ、3齢幼虫
左が3齢幼虫で、右が2齢幼虫。
あしが長くなっています。脱皮後にエサを食べると体も大きくなっていきます。
また、脱皮した幼虫は別容器に移し、共食いをなるべく避けるため同じ齢期の幼虫だけで育成することをオススメします。
エサキアメンボ、4齢幼虫
体のしま模様もよく見えます。このサイズになってくると飼育容器に使用しているタッパーの壁をジャンプして飛び越えてしまう個体が出てくるので、小型のプラスチックケースに変更が必要です。
エサキアメンボ、5齢幼虫
体も細長くなり成虫に近い体形になります。しま模様がとても美しいです。
エサキアメンボ、羽化直前
羽化直前の5齢幼虫は、エサを食べなくなり、体が全体的に黒っぽくなります。
エサキアメンボ、羽化
無事に羽化しました。細身でとてもかっこいいアメンボです。
個人的に好きなアメンボなので繁殖がうまくいって嬉しい。
今回、はじめてエサキアメンボを飼育してみましたが、産卵数も多く、幼虫は冷凍赤虫だけでも簡単に育成できることがわかりました。小型の飼育容器で繁殖や観察を楽しめるのは良かったです。
よく見かけるアメンボやヒメアメンボと比べると野外で見かける機会は少ない種類だとは思いますが、エサキアメンボを飼育する機会があれば、ぜひ繁殖をねらってみてはいかがでしょうか。
本記事がエサキアメンボや同属のアメンボ類の繁殖の参考になればうれしいです。
