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シマアメンボを飼育下で繁殖させて幼虫を育ててみました。
本記事では、シマアメンボの簡易的な飼い方や卵の産ませ方、幼虫の育成方法についてまとめてみました。
分類:アメンボ科シマアメンボ属
和名:シマアメンボ
学名:Metrocoris histrio
体長5〜7ミリ程度。体型は楕円形で、黄褐色の体に黒色の複雑な模様がある。
河川の上流から中流域の流水環境に生息する。
シマアメンボの繁殖に取り組んだ時期
今回、シマアメンボの繁殖に取り組んだのは9月下旬から12月です。
シマアメンボ、成虫の飼育方法(簡易版)
日々のメンテナンスや採卵のしやすさなど、繁殖に重点を置いた簡易的なシマアメンボの飼育方法をご紹介します。
成虫の飼育容器
成虫の飼育には、100円ショップで購入したプラスチックケース(26×18×15.5センチ)を使用し、汲み置きした水道水を水深2〜3センチ程度入れました。
長翅型がいなかったので、今回はフタはせず開放状態で飼育しました。
アメンボのなかまはずっと水面に浮いているわけではなく、自然界では水草や水面上に出る流木や石の上で休んでいます。
今回は休憩場所として、スチレンボードを適当なサイズにカットして水面に浮かべました。また、アメンボが登りやすいように、スチレンボードの側面を斜めに切り落としてスロープ状に加工しました。
成虫のエサ
成虫のエサは、毎日、市販の冷凍赤虫を水面に浮かべて与えました。
アメンボは、水中に沈んだエサは食べません。
解凍した冷凍赤虫は、一度、キッチンペーパーの上に置いて表面の水分を拭き取り、水面に1本ずつ浮かべて与えました(今回はこうしないと摂餌しなかった)。
エサやりの頻度は、1日1回程度です。
水換え
水換えは、2日に1回を目安に全量を汲み置きした水道水で行いました。
エサの赤虫を水面に浮かべるようにして与えたため、食べカスや赤虫から出る汁で水が汚れやすかった印象です。
アメンボは水面で生活するため、水面に油膜があるときは水換えが必要です。特にアメンボが水面をすいすいと泳げない状態のときは注意が必要なほか、飼育水の汚れやにおいがあるときも水換えします。
水温と光条件
水温は、エアコンの設置されてない室温で管理しました。
また、専用の照明は設置せず、光条件は窓から入る自然光のみです。
産卵基質
アメンボのなかまは、一般的に水面に近い水中の石や水草、流木などに産卵します。
今回の繁殖では、水面に浮かべたスチレンボードを産卵基質に代用しました。
シマアメンボ、ペアリング
今回は、オスとメスを1ペア入れて飼育を開始しました。
飼育中は定期的に交尾するのを観察できました。
オスとメスの見分け方
シマアメンボの雌雄の判別は、腹端の形状を観察することで見分けることができます。
オスの腹端は突出しています。
シマアメンボ、採卵方法
交尾を確認してからしばらくすると、産卵基質として入れておいたスチレンボードに産み付けられた複数の卵を見つけました。
採卵はスチレンボードごと取り出して行い、100円ショップで購入したタッパー(11.5×8×5センチ)に入れ、孵化するまで管理しました。飼育水は汲み置きした水道水を水深2センチ程度入れています。
シマアメンボ、幼虫の飼育方法
今回の繁殖で、幼虫の育成に用いたものなどを参考までに紹介します。
幼虫の飼育容器
幼虫の飼育には、採卵後の管理に使用したタッパー(11.5×8×5センチ)をそのまま使用し、
4齢幼虫以降の飼育には、100円ショップで購入した小型プラスチックケース(17×11×8.5センチ)を使用しました。
どちらの容器にも、汲み置きした水道水を水深1〜2センチ程度入れています。
幼虫飼育には、容器内の蒸れを防ぐためフタは使用しませんでした。
4齢幼虫から容器を変更した理由は、幼虫のサイズが大きくなり容器内が狭くなったことと、ジャンプして容器から飛び出すことがあったためです。
また、成虫同様、スチレンボードを水面に浮かべて幼虫が休憩する足場やエサ置き場として使用しました。
幼虫の飼育のポイント
孵化日が同じ幼虫を一緒に飼育するようにする。孵化日が異なると共食いのリスクが高まります。
脱皮後は、同じ齢期の幼虫をなるべく一緒に飼育するように注意する。
幼虫のエサ
幼虫のエサは、各齢期すべて市販の冷凍赤虫のみを使用しました。
成虫同様、解凍した冷凍赤虫は、キッチンペーパーの上に置いて表面の水分を拭き取り、水面に1本ずつ浮かべて与えました。
エサやりの頻度は、1日1回、食べ残しが少し出るぐらい多めに与えました。
水換え
水換えは、毎日、飼育容器を入れ替えて行いました。
新しい容器に汲み置きした水道水を入れておき、直接幼虫を触らないように計量スプーンなどですくい取って移しました。
今回はエサを水面に浮かべて与えたので、水がすぐに汚れるため注意しました。
成虫同様、水面に油膜等がある時はこまめに水換えする必要があります。
水温と光条件
幼虫も成虫同様、室温管理と窓からの自然光のみで育成しました。
シマアメンボ、孵化幼虫
孵化幼虫はとても小さいですが、しばらくすると赤虫を摂餌するようになります。
生き餌など必要なく、浮かべた冷凍赤虫にも反応するので、エサの面では安心です。
シマアメンボ、2齢幼虫
1齢幼虫は約10日で2齢幼虫に脱皮した。シマ模様があり、かわいい。
複数飼育していたので、脱皮直後に共食いされる個体もいました。シマアメンボは単独飼育がいいのかもしれません。
赤虫を摂餌してお腹部分が大きくなった。お腹が赤っぽいのは赤虫の色が透けて見えているため。
シマアメンボ、3齢幼虫
2齢幼虫は約9日で脱皮して3齢幼虫になりました。
シマアメンボ、4齢幼虫
3齢幼虫は約10日で脱皮して4齢幼虫になりました。
4齢幼虫には飼育容器のタッパーは狭いのと、ジャンプして飛び出してしまうことがあるので、小型のプラスチックケースに容器を変更しました。
大きくなってもエサの赤虫は、水面に浮かべて与えないと反応しませんでした。
そのため毎日、水換えしないといけないのが大変でした。。
シマアメンボ、5齢幼虫
4齢幼虫は約11日で脱皮して5齢幼虫になりました。
なんとなく野外の個体と比べて小型な気がしました。
繁殖に取り組んだ時期が遅く、水温の低下、エサが赤虫のみの単一給餌なのも成長に影響しているかも。
エサを食べて少し大きくなりました。冷凍赤虫だけでもとりあえず育ちそう。
シマアメンボ、羽化
5齢幼虫は約16日で羽化脱皮しました。美しい模様。
孵化から約58日もかかりました。夏場の暖かい時期に繁殖させたらどれぐらいで早まるのか気になるところ。
今回は流水性のシマアメンボの繁殖に取り組んでみました。止水性のナミアメンボと比べると飼育が少し難しい印象でした。機会があれば水温、気温ともに上がる夏場にも繁殖に取り組んで観察してみたいです。
本記事がシマアメンボや同属のアメンボ類の繁殖の参考になればうれしいです。