【飼育方法】ホソクロマメゲンゴロウを繁殖させてみた

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ホソクロマメゲンゴロウを飼育下で繁殖させて幼虫を育ててみました。

本記事では、飼育に関する情報が少ないホソクロマメゲンゴロウの飼い方や産卵のさせ方、卵や幼虫の育成方法などについてまとめてみました。

ホソクロマメゲンゴロウ 解説

分類:ゲンゴロウ科モンキマメゲンゴロウ属

和名:ホソクロマメゲンゴロウ

学名:Platambus optatus

体長7〜8ミリ程度のゲンゴロウ。背面は光沢のある黒色で、体はひらべったい。

林道の染み出し水の水たまりなど、浅く落ち葉がたまった環境などに好んで生息。

ホソクロマメゲンゴロウの繁殖に取り組んだ時期

今回、ホソクロマメゲンゴロウの繁殖に取り組んだのは3月から5月です。

ホソクロマメゲンゴロウ、成虫の飼育方法

今回、紹介する飼育方法は、水草や流木などできれいにレイアウトしたものではありません。

水換えや掃除などの日常の飼育管理や採卵のしやすさ(繁殖)に重点を置いたとてもシンプルなものです。

成虫の飼育容器

成虫の飼育には、100円ショップで購入した小型のタッパー(11.5×8×4.5センチ)を使用し、園芸用の鉢底ネット(13×3.5センチ)を山折りにして設置しました。

鉢底ネットの両端は下の写真のように1センチ程度折り曲げて安定させています。

鉢底ネットの役割は、成虫の足場や甲羅干し用の陸場、そしてホソクロマメゲンゴロウの産卵基質も兼ねています。

タッパーには、汲み置きした水道水を水深2.5〜3センチ程度入れ、鉢底ネットが完全に水没しないように調整しました。

また、脱走防止のためフタは必要です。既存のフタでは気密性が高く蒸れやすいので、状況をみて小さな穴を複数開けることをおすすめします。

成虫のエサ

成虫のエサは、市販の冷凍赤虫を解凍して、1日1〜2回適量与えました。

小型の種類なので食べ残しが出ないように注意が必要です。

※飼育におすすめのこだわり赤虫はamazonでは販売してません

上手く産卵させるには、成虫の栄養状態も関わってくると考えられるので、よく観察しながらエサの量を調整するのがポイントです。

水換え

小型のタッパーを使った簡易的な飼育方法なので、定期的な水換えは必要です。

目安として3日に1回程度、全量を汲み置き水を用いて行いました。

飼育水の汚れやにおいがあるとき、また、食べ残しが多いときなどはこまめに水換えが必要です。

水温と光条件

水温は、エアコンが設置されていない3月から5月の室温で管理しました。

光条件は、窓から入る自然光のみとし、専用の照明は設置しませんでした。

産卵基質(産卵床)

ホソクロマメゲンゴロウの産卵基質が分からなかったため、今回は鉢底ネットを産卵基質として使用しました。

同属のモンキマメゲンゴロウを繁殖させたとき、産卵基質(鉢底ネット)の表面に産卵したのを参考にしています。

ホソクロマメゲンゴロウ、産卵のさせ方

今回のは雌雄の判別をせず、成虫を複数個体入れてペアリングを試みました(運良く雌雄がそろっていました)。

容器の底に産み付けられたホソクロマメゲンゴロウの卵

産卵基質として入れた鉢底ネットやタッパーの底面に複数の卵が産み付けられているを確認できました。

採卵は、成虫をすべて別のタッパーに移すことで行いました(タッパー自体に卵を産み付けていることが多かったため)。

卵が産み付けられたタッパーも室温で管理しました。

ホソクロマメゲンゴロウ、各成長段階の平均日数

1-2齢2-3齢3齢-上陸上陸-蛹化蛹化-羽化
12.2日5.0日6.0日14.5日7.3日8.0日

※育成日数は、飼育水温や栄養条件などで多少前後すると考えられます。

ホソクロマメゲンゴロウ、幼虫の飼育方法

ゲンゴロウ類の幼虫は、共食いすることが知られているため基本的には個別飼育をおすすめします。

種類によっては共食いしにくい幼虫もいるようですが、今回は、ホソクロマメゲンゴロウ幼虫の育成期間を調べるためにも個別飼育しました。

幼虫の飼育容器

幼虫の飼育には、100円ショップで購入したお弁当用のマヨネーズカップ(直径4×高さ2.5センチ)を使用しました。

カップには、汲み置きした水道水を水深5ミリ程度入れています。幼虫の飼育には、上陸させるまでフタは使用していません。

幼虫のエサ

エサは、市販の冷凍赤虫を使用しました。

エサやりの頻度は、朝夕各1回行い、少し食べ残しが出るぐらい多めに与えました。

水換え

水換えは、スポイトを用いて汲み置きした水道水で毎日、ほぼ全量を夕方に1回行いました。

スポイトで幼虫を吸わないように注意してください。

成虫同様、飼育水の汚れやにおいがあるとき、また、食べ残しが多いときなどはこまめに水換えが必要です。

また、脱皮中や脱皮直後の幼虫がいる時は、しばらく時間を空けてから水換えをしました。

水温と光条件

幼虫の飼育水温は成虫同様、室温で管理し、光条件も窓から入る自然光のみです。

ホソクロマメゲンゴロウ、孵化幼虫

ホソクロマメゲンゴロウは、産卵から平均12.2日で孵化しました。孵化日数は最短で10日、最長で15日でした。

孵化後しばらくすると市販の冷凍赤虫を摂餌しました。

1齢幼虫から赤虫を摂餌するので、飼育がエサの面で楽でした。

ホソクロマメゲンゴロウ、2齢幼虫

1齢幼虫は平均5.0日ほどで脱皮をして2齢幼虫になりました。日数は最短で4日、最長で7日でした。

ホソクロマメゲンゴロウ、3齢幼虫

2齢幼虫は平均6.0日ほどで脱皮をして3齢幼虫になりました。

ホソクロマメゲンゴロウ、上陸のさせ方

3齢幼虫は平均14.5日で強制上陸させました。強制上陸までの日数は最短で9日、最長で19日でした。

上陸直前の幼虫は、透けて見えていた消化管がほとんど見えなくなり、この状態を上陸のタイミングとしました。

上陸にも幼虫の飼育に使用しているマヨネーズカップを使用し、カップには水道水であらかじめ加湿しておいたピートモスを半分程度入れています。

その上にホソクロマメゲンゴロウの幼虫を強制上陸させました。

上陸後は脱走させないためにカップにフタをする必要があります。

ピートモスについて

ピートモスは、ホームセンターの園芸コーナー等で購入できます。

水道水で加湿したピートモスは、軽く手で絞って水が落ちる程度の状態のものを使用しています。

上陸させた幼虫が蛹室をなかなか作らない時は、ピートモスの水分量があっていない可能性があるので、状況によって水分量を調整してください。

ホソクロマメゲンゴロウ、蛹化

強制上陸から平均7.3日ほどで蛹化を確認しました。

今回は、蛹化のタイミングを確認するため、蛹室の中をそっと観察しています。

ホソクロマメゲンゴロウ、羽化

蛹化した個体は、平均8.0日で羽化していました。羽化直後は真っ白ですが、徐々に黒っぽく変化してきます。

卵から羽化まで平均55.7日という結果になりました。実際には羽化脱出までに時間(日数)がかかります。

ホソクロマメゲンゴロウは、繁殖期など詳細な生活史について明らかになっていないことがまだ多くあるようです。

本記事が、ホソクロマメゲンゴロウの繁殖や同属のゲンゴロウ類の繁殖の参考になればうれしいです